アプリの収益化を考える上で欠かせないのがアプリ内課金です。これまではAppleやGoogle公式の課金システムを通さなければならないイメージがありましたが、最近では状況が変わってきています。まだ未確定の部分もありますが、2022年は大きく様変わりしていることでしょう。
この記事ではそんなアプリ内課金をめぐる最近の情報を紹介します。
- 元々アプリ内課金対象外だったもの
- 手数料について
- サードパーティの決済システム導入について
- リーダーアプリにおけるサードパーティ決済システムの導入
- Appleのアプリ外課金の状況
- サードパーティ製課金を利用する場合のリスク
- まとめ
元々アプリ内課金対象外だったもの
AppleのApp Store Reviewガイドラインには次のように記載されています。
3.1.3(e)Appの外部で使用する商品やサービス:ユーザーがAppの外部で使用する物理的な商品やサービスをAppで購入できるようにする場合、そうした商品の支払いにはApp内課金以外(Apple Payやクレジットカードなど)の方法を使用する必要があります。
例えばAmazonや楽天など、コマースの場合はアプリ内課金が利用できません。メルカリなどのそうです。逆に言うとアプリ内で利用されるサービスについては、アプリ内課金を利用する必要があります。
手数料について
iOSの場合、アプリ内課金の手数料は30%です。しかし2021年01月にApp Store Small Business Programが発表され、年間収益が100万ドル以内の小規模事業者については15%となっています。
Androidも手数料30%が標準です。しかし、2021年7月1日より、開発者が1年間にGoogle Playにおける収益が100万ドルまでは15%としています。
サードパーティの決済システム導入について
Googleは2021年11月04日より、韓国においてサードパーティの決済システム導入を認めています。
Google Developers Korea Blog: Enabling alternative billing systems for users in South Korea
リーダーアプリにおけるサードパーティ決済システムの導入
Appleは日本の公正取引委員会による独禁法調査終了に伴って、リーダーアプリ(デジタル版の雑誌、新聞、書籍、オーディオ、音楽、ビデオの購入済みコンテンツまたはサブスクリプションコンテンツを提供するアプリ)の自社サイトにおける決済を許可する決定をしています。これは世界中で利用できるとのことです。
閲覧系サブスクアプリは“Apple税”回避可能に Appleが日本の公取委と調整 - ITmedia NEWS
なお適用は2022年頭とのことです。KindleやNetflixなどが対象になるでしょう。
Appleのアプリ外課金の状況
AppleはEpic Gamesと裁判をおこなっており、アプリ外での課金について認めるように判決が下っています。その結果、アプリ利用ユーザに対してアプリ外での連絡(メールなど)を通じて課金システムを通知を許可しています。
Apple、アプリ内課金以外の方法の紹介を条件付きで許可する規約改定 - ITmedia NEWS
さらにアプリ内での連絡を認めるかどうかは12月9日までの期限となっています。これに対してAppleがさらに裁判を起こす予定とのことで、さらに延長される可能性が出ています。
Appleが実装するはずの「アプリ外課金」が大幅に遅れる可能性が出てくる - GIGAZINE
サードパーティ製課金を利用する場合のリスク
Googleによる説明では、Google Playの決済システムを利用しない場合、ユーザー保護の仕組みやペアレンタルコントロール、ファミリー用支払い機能、サブスクリプション管理、Google Playギフトカードなどは利用できません。これはiOSでも同様となるでしょう。アプリ内課金システムは単なるステータス管理ではなく、決済状態に応じて機能制限が行える仕組みだからです。
開発者としては、こういった標準のアプリ内課金で実装されている機能を独自で追加する必要がありそうです。
まとめ
アプリ内課金の手数料が高いと言う問題は常に言われてきましたが、今年から来年にかけて大きく変化しそうです。ただしAppleやGoogleにとってアプリ内課金は大きな収益源になっているため、簡単に手放す可能性は薄いでしょう。アプリのサイズに応じたダウンロード課金(開発者負担)や標準課金だけを使っている場合の優遇措置など、何らかの差別化が出てきそうです。