アプリを開発する際にどうmBaaSを組み合わせれば良いのか、それをデザインパターンとして紹介します。今回はCRM、カスタマーリレーションシップマネジメントを実現し、顧客とのつながりを形成する方法について紹介します。
要件
- 新商品紹介など、コンテンツを配信する
- コンテンツ追加時にプッシュ通知を送信する
- 商品に関する質問を受け付ける
- 顧客を限定するためにID/パスワードを発行する
このようなアプリを考えてみたいと思います。
新商品紹介など、コンテンツを配信する
コンテンツ配信にはデータストアが利用できます。タイトル、本文など情報を盛り込んで配信が可能です。なお、もう一つの方法としてWordPressなどのブログからフィードを使って配信する方法があります。
フィードを使った方法ですと、アプリ側でフィードの解析が必要になったり、検索もアプリ内部で実装する必要があります。その点、mBaaSを使った場合は予めSDKが提供されているのでデータの取得が容易であったり、検索や並び替えもできるようになっています。
両者を組み合わせて、フィードをmBaaSに登録する方法も考えられます。この場合、コンテンツの追加は普段から慣れているブログの管理画面を使えて、アプリへの配信はSDKを使ってごく手軽に実現できるようになります。
また、コンテンツが動画や写真などを含む場合はファイルストアが利用できます。ファイルストアにはHTTPSアクセスできますので、配信コンテンツ(HTML)中に埋め込むことも可能です。
コンテンツ追加時にプッシュ通知を送信する
コンテンツを配信する際にはプッシュ通知を飛ばすようにしましょう。これはmBaaSの管理画面で使えるプッシュ通知機能が便利です。mBaaSでは配信先デバイスを絞り込むことができますので、顧客自身が興味のあるカテゴリを登録することで配信先が絞り込めます。これはレスポンス率の向上にもつながります。
mBaaSではプッシュ通知に対するレスポンスをグラフ化する機能があります。これにより、文面を変えたり配信先を変更することでアクティブ率を高める施策を打てるようになるはずです。
商品に関する質問を受け付ける
顧客からの質問を受け付けるのもデータストアが利用できます。写真などを添付して質問する場合にはファイルストアが便利です。質問を受け付けたら、管理者のデバイスに対してプッシュ通知を飛ばすようにするのが良いでしょう。回答へのレスポンスが向上し、満足度が高まるでしょう。
質問の回答もmBaaS上で行うことで、一元的にデータストアでかんりされるよう管理されるようになります。コメントがオープンなものであれば全体に読み込み権限を付与し、そうでない場合は質問したユーザ(後述するユーザ管理を利用)に対してのみ読み込み権限をつけることでセキュアに運用できるようになります。
質問に回答した場合も同じようにプッシュ通知を送るのが良いでしょう。
顧客を限定するためにID/パスワードを発行する
CRMは顧客ごとにIDを発行し、アプリを使ってもらうのが良いでしょう。コンテンツは公にできないものもありますので、無闇に配信するのは危険です。そこでmBaaSの会員管理機能が利用できます。これを使って管理画面でID/パスワードを発行し、顧客に使ってもらいましょう。
アプリによっては自分でユーザ登録してもらうこともできますが、CRMでは自分たちで管理するのが良いでしょう。ID/パスワードまたはメールアドレスとパスワードの組み合わせによるログインができます。
今回の想定では、
- データストア
- 新商品などのコンテンツ
- 問い合わせと回答
- ファイルストア
- コンテンツで動画、画像を使う場合
- 会員管理
- 顧客ごとにID/パスワードを発行
- プッシュ通知
- コンテンツ追加のお知らせ
- 顧客からの質問と回答
を使う形で考えてみました。さらに発展させる形として、店舗型ビジネスであれば、店舗のある場所を現在位置からの検索で調べられるようにしたり(位置情報検索)、管理画面を作成して顧客情報の一元管理を行うことも考えられるでしょう。
ぜひmBaaSを使ってアプリを作ってみてください。