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アプリ内課金の値上げでアプリ市場はどう変わる?

2022年10月05日よりアプリ内課金の値上げが実施されました。これはドル高によるもので、日本以外の欧州や韓国などでも値上げを実施しています。

この値上げがどうアプリ開発者に影響を及ぼすのかを解説します。

サブスクリプションは対象外

すでに契約しているサブスクリプションについては、契約時の金額が維持されるようです。今後契約するものについては値上げされるはずなので、同一サービスでの多重金額化は避けられないようです。

アメリカドルはそのまま

今回の値上げは為替の調整結果になります。つまり世界的にドル高であるため、他の法定通貨で調整が入った形です。そのため、アメリカ市場(USドル)は据え置きのままです。円安であるため、日本円だと値上げに見えるだけです。

最低料金は160円に

開発者はTier表から課金に使用する価格を選定するわけですが、その金額にも変更がありました。

これまでアプリ内課金の最低料金は120円でしたが、160円に変わります。これはTier1の金額なので、この金額を使っているアプリについては確実に値上げになり、回避策はないでしょう。

Tier毎に調整できる余地

旧価格でのTier8は980円で、新価格のTier6は1,000円となっています。つまり20円の価格差しかないため、ユーザーにとっての値上げ感は小さくて済みそうです(3桁から4桁になったことによる心理的影響は大きいですが)。このように旧Tierと新Tierを比べることで、金額差を小さく出来る可能性はあります。

開発者の収益について

手数料は変わらないため、新Tierにそのまま移行した場合には日本円での収益は増えるはずです。120円の場合は84円でしたが、160円の場合は112円になります。

Androidとの差異について

一般ユーザーの場合、AndroidとiOS両デバイスで料金を比べる人は多くないので、iOSだけ値上げになっても状況は変わらないでしょう。また、ゲーマーのように料金を気にする人たちは元々Amazonで課金を行う人たちも多かったはずです。

iOSとAndroidで値段調整を行う場合には、既存のAndroidに合わせる形になるはずです。Android側も便乗値上げをすると、ユーザーの反発を招く可能性があります。ただし、今後Androidが為替調整を行わない可能性はあるので、再度調整が必要になるかも知れません。

値下げする可能性は

今後、円高になった場合に逆に値下げをするでしょうか。これは恐らくあり得ます。実際、2011年にApp Store、有料アプリを約3割値下げ 115円アプリは85円に 円高でレート見直し - ITmedia NEWSとあるように値下げを行っています。Appleデバイスでも2016年に日本で大幅値下げのMac各モデル、イギリスでは一夜で大幅値上げ! - iPhone Maniaのように価格調整を行っています。円高の場合は日本円での収益は下がることになるので、注意が必要でしょう。

まとめ

アプリ内課金はゲームアプリをはじめとして、大きな収益の軸になっています。そのため、あまり頻繁な価格調整は行われないでしょう。今回の急激なドル高を受けてのことではありますが、相当円高が進まないと従来の水準には戻らないと思われます。

駆け込み需要があったという話ですが、値上げが行われた後はしばらくアプリ内課金の利用が減る可能性は高そうです。

中津川 篤司

中津川 篤司

NCMBエヴァンジェリスト。プログラマ、エンジニアとしていくつかの企業で働き、28歳のときに独立。 2004年、まだ情報が少なかったオープンソースソフトの技術ブログ「MOONGIFT」を開設し、毎日情報を発信している。2013年に法人化、ビジネスとエンジニアを結ぶDXエージェンシー「DevRel」活動をスタート。