店舗や会場などのオフラインへの集客ツールや会員制サービスのスマホアプリを受託開発したいというお話を相談会では本当によくいただきます。その際、Webシステムとメルマガ配信のようにスマホアプリへのプッシュ通知の仕組みが課題になります。
この記事では、会員向けのプッシュ通知のメリットや実装するための仕組みや運用方法をあらかじめ整理し、メリット・デメリットと運用シーンに基づたシステムパターンをまとめました。

1)予備知識:メルマガとプッシュ通知の違いとその特徴
■メルマガの特徴
会員にお知らせするための代表格はメールアドレスに送付されるメルマガです。メルマガがスマホに届くとメールアプリが概要を表示してくれます。
「シューズショップから 年末クーポンのお知らせ」 「西新宿サロンから 春の新商品発表」 「大森トラベルから 旅行に関するアンケート」
などといった、今でなくてもサービスがうけられ、家に帰ってからPC画面で利用できるような、数時間後、数日後に使える情報が多い特徴があります。
■プッシュ通知の特徴
それに対してプッシュ通知は、スマートフォンにインスタントに即時表示されるお知らせ機能です。「何のアプリから」お知らせが来て、いつまで使えるのか がすぐわかる点が最大の特徴です。
「ゴルフゲーム らくゴル:「スター石プレゼント! 10スターが届きました(1時間限定)」 「フリマアプリ オシフリ :押入れをキレイにしよう!出品料無料デイ!(28日限定)」 「レシートお小遣いアプリ レシマネ:本日から10点の案件掲載スタート!」
LINEではおなじみのプッシュ通知ですが、特徴はそのリアルタイム性と、アプリへのダイレクトアクセスです。
すぐにどのアプリからのお知らせなのかがわかり、その通知に気づいたユーザーは通知をタップしてアプリを立ち上げます。すぐにアプリにアクセスでき、サービスをすぐにうけられる点が特徴です。
■まとめ
プッシュ通知はユーザーにすぐにダイレクトに行動を起こさせるきっかけになっている ことが重要です。メールのように通知する仕組みは以前からありましたが、プッシュ通知はアプリやサービスを直接的に結びつけ、すぐに行動を起こさせる点が重要です。
2)店舗運営者のためのプッシュ通知の送り方
ここで、チェーン店における店舗運営の典型的な悩みを想像してみましょう。まずは新規顧客の獲得からスタートしますが、新規顧客を取り続けることよりも、売上効率をあげていくためには獲得した顧客に、リピーターになってもらうことです。
リピーターを増やすための方法でオーソドックスなもので思いつくのは、スタンプカードなどの顧客の会員化です。たとえばハンバーガー屋であれば、来店するたびにスタンプカードにスタンプを押し、貯まったスタンプでドリンクを1つサービスするなど、顧客のリピートをうながすようなものです。
チェーン店のアプリでよくある企画に、来店の時に使ってもらうスタンプカードのようなアプリで、会員制度と紐付けて、来店を促すためにプッシュ通知を送るようなケースがあります。
では、具体的に、ハンバーガーチェーン店の会員アプリを例にとってその仕組みを考えてみましょう。
■満員御礼!リピーターゲット!売上アップのプッシュ通知活用法

あいうえおハンバーガーの西新宿店長はリピーター客を増やして売上を効率的に増やしていきたいと考えています。いままでは紙のスタンプカードを渡して、来店ごとにスタンプを押して来店を促していました。
これをスマホアプリにしたらどうでしょうか。
紙からアプリになることでカードを無くさないですし、プッシュ通知で紙にはできないお客さんとのコミュニケーションがとれそうです。また、来店した時にお客さんにアクションをとってもらうこともできます。
1)店頭でのスタンプ 2)上客のお客さんに店頭で使えるクーポンを出す 3)来店直後にお礼のメッセージ
などが考えられます。
■1.店頭でのスタンプ
店頭に来た時にアプリをダウンロードして提示してくれれば、ドリンクサービス、10%オフなどのサービスを提供しますよ、というようなアプリがよくあります。

アプリをダウンロードしたあとに、かんたんな会員登録をしてもらえれば、お客さんにその後プッシュ通知でアプローチし、コミュニケーションをとることができます。
かんたんな会員登録というところもポイントです。 アプリはプッシュ通知というアプローチ手段があるので、無理にメールアドレスを会員登録に使わなくてもよいのです。もちろん、既存のメルマガ会員を持っていてメルマガのかわりにプッシュ通知でアプローチしたいときにも有効です。
店頭でスタンプを押す手段もいろいろなものが考えられます。
・店頭にあるQRコードをアプリ内で撮影するとスタンプが押される ・スタッフがレジ精算時にチケットをもぎる ・アプリ内にあるバーコードをレジPOSで読ませる
など、紙にはないシステム連携がとれそうです。
■2.上客のお客さんに店頭で使えるクーポンを出す
店舗をよく訪れてくれたり、潜在的にひと押しあれば来客してくれそうなプレミアムな上客を「それぞれの店舗ごとの来店回数」や「上客ステータス」などで区分し、クーポンやセールなどお客さんが再来したいタイミングで送るプッシュ通知が考えられます。
また、美容院などの予約型のサービスであれば、予約時間や店舗近くに移動すると自動的に予約チケットが浮き上がってくるようにプッシュ通知を使うこともでき、ユーザが便利にアプリを使えるようにできます。
プッシュ通知ではお客さんのメリットになるタイミングで、お客さんの行動時間に積極的に配信したり、継続的に配信したりできます。
■3.来店直後にお礼のメッセージ
会員システムをすでに持っていて、ユーザーのデモグラフィックデータ(性別・年齢・住んでいる地域)と行動ログ(来店回数・利用時間・購入金額)などのデータを分析することで、より売上貢献しているユーザーを絞り込むことができます。データドリブンなプロモーションで効率的・効果的に費用対効果を量ることが出来ます。
「大森 太郎さん 昨日は来店ありがとうございました!次回来店時のクーポンを差し上げます!」というような、プッシュ通知のリアルタイム性も活かすことができます。
3)会員システムとプッシュ通知サービスを連携させるしくみ

それではこれらのケースとプッシュ通知をどうやって実装すればよいのか。ニフティクラウド mobile backend をプッシュ通知サービスとして利用したケーススタディをご紹介します。
■1.店頭でのスタンプ
店頭でアプリをダウンロードしたときに mobile backend に簡易的に会員登録を行うことができます。 Installation登録と言って、端末の情報を mobile backend に登録しておき、プッシュ通知を配信したいときに、配信リストとして扱うことができます。
■2.上客のお客さんに店頭で使えるクーポンを出す
次に、おなじアプリを使って複数来店してくれた上客のお客さんにだけ店頭で使えるクーポンを出す事を考えてみます。来店履歴の階数を持つユーザに送信するプッシュ通知です。

※来店時にアプリを使う=来店回数を1増やし、来店回数>3回 の方を属性Aとする例
■3.来店直後にお礼のメッセージ
最後にひとりひとりにプッシュ通知を送る場合を考えてみます。

よくあるパターンとしては既に「大森 太郎さん 昨日は来店ありがとうございました!次回来店時のクーポンを差し上げます!」というような「大森 太郎さん」宛に、来店の翌日にプッシュ通知を1通送る場合を考えてみます。1to1メールに相当するプッシュ通知です。
いかがでしたでしょうか。会員向けのプッシュ通知のメリットや実装するための仕組みや運用方法を整理して会員システムとプッシュ通知サービスを連携させましょう。