WebPayがLINEに買収されたのは記憶に新しいところですが、先日突然のサービス終了アナウンス(2017年4月末にて)がありました。多くの企業買収はサービスの吸収やタレント買いが目的にあるので、こうなる予感はあったのですが、決済サービスという企業の収益化の根幹を担うサービスが終了するとあってインパクトがとても大きなニュースです。
この記事ではサービス利用側の視点から、その選定やリスクについて考えてみたいと思います。
継続性を正しく見極めよう
クラウドサービスを使うことで一からサービスを開発したり、システムを導入するのに比べて圧倒的に速く、低コストに機能を追加できるようになりました。Google Appsのようなサービスを一から作ろうと考える企業など今は殆どいないはずです。
しかしクラウドサービスには幾つかのリスクも存在します。サービス終了というのはその一番大きく、懸念すべきリスクと言えます。データや機能がクラウド側にある以上、サービスが終了してしまうとコピーして利用し続けるという訳にはいきません。別なサービスに乗り換えるにしても追加開発が必要になりますし、一旦失望させられているために選定に及び腰になってしまうことでしょう。
この時に大事なのがサービスの継続性を見極めるということです。企業として恒久的にサービスを提供し続けます、と宣言するのは困難なことです。しかし、企業の信頼性であったり、これまで提供されている他のサービスの継続状態を見ることで推し量ることはできます。
買収は大きな転換期
今回のWebPay終了がLINEによる買収がきっかけになっているのと同様、FacebookによるParse.comもサービス終了という結果になってしまっています。GoogleによるFirebase買収はブランド維持という結果になっていますが、機能的には大きく変わっていたり、サービスのURLも変更されています。
買収されるくらい魅力的な技術、サービスであったとも言えますが、ブランドが維持されないことのが多いのが実情です。サービス利用側としては買収される懸念というのは憂慮すべきかもしれません。
企業文化を見る
企業としてサービスを提供する上で、すぐに作ってはすぐに潰すと言ったことを繰り返していると利用者の信頼を得ることはできません。どのようなサービスであっても5年、10年と継続できるだろうと考えるのが利用者視点だからです。来年にはなくなっているかもしれないサービスを利用したいと考える開発者は少ないでしょう。
それらの思考は企業文化にも現れるものです。サービスがよくピボットしていたり、流行のキーワードにすぐ乗り換えたりする傾向があるのも危険な傾向と言えます。企業規模に比べてサービスの種類があまりに多い場合、適切なメンテナンスやバージョンアップがされていない可能性があります。
アプリは更新が難しい
サーバサイドの技術の場合、自分たちの判断でバージョンアップを行えます。しかしアプリの場合、少なくとも審査を通過しなければならなかったり、利用者全員に最新バージョンがすぐに行き渡る訳ではありません。最近では自動アップデートの仕組みがアプリストアに追加されていますが、アプリの中で使っているライブラリやOSがバージョンアップしたのに伴って古いOSが切り捨てられてしまうと言うこともあります。
古いままのアプリは終了したサービスの機能が残り続けることになります。その機能を使おうとするとエラーになってクラッシュしてしまうでしょう。しかしそれらを救済するのはとても困難です。その結果、ユーザを失望させてレビューが荒れることになります。
アプリは更新が困難であるため、クラウドサービスと連携する場合には特に注意が必要です。URL一つの変更であっても難しいというのが実情です。
さいごに
危険はあるものの、外部サービスを使わないという手は現在においてほぼ考えられません。スマートフォンアプリという時点でAndroidやiOSの土俵に乗っている訳で、アプリストアすら一定のリスクが存在します。
大事なのは信頼できるサービスを使うということです。無料だから、低コストだから選ぶのではなく、継続性や信頼性という点を重視して選定するようにしましょう。